女性の漢方―すぐに使えるフローチャート

女性患者が苦手である。毎度毎度外来に来る度に同じ話を繰り返し繰り返し聞かされていると、「それは先月も聞きました」という言葉が喉元まで出かかる。一体、具合が悪くて来ているのか、愚痴を言うために来ているのか分からない。漢方診療をしていても、漢方薬が効いているのか、愚痴を吐き出したから良くなっているのか判然しない。どうも女性はやっかいだ。なので、この本を読んで女心を少し勉強してみようと思う。まあ、遅きに失した観はあるが。ところで漢方薬の性ホルモンに対する作用は、どの程度研究されているのだろうか。pubmedでちょいちょい検索しても、あまりめぼしいものが引っかかってこない。山本巌は瘀血についてついに匙を投げて「まあ、現段階では活血薬が効く病態が瘀血と言っておく他は無い」と言ったが、活血薬とは瘀血に効く薬のことなんだから、これは同語反復である。ちなみにpubmedでtraditional Chinese medicine estrogen TCM と入れて検索した結果は、中国語文献が数件に過ぎなかった。日本からは、Namiki T et al Identification of a predictive biomarker for the beneficial effect of keishibukuryogan, a kampo (Japanese traditional) medicine, on patients with climacteric syndrome. ECAM2014が一本有るだけだった。今後重点的に研究すべき分野だと思われる。